
【第1回】組織の未来を規定する「無数の選択」という地層
「停滞する組織と成長する組織が分岐する『日々3.5万回』の積み重ね」
1.未来を形づくる「目に見えない選択」の正体
組織開発の現場において、私たちは「組織の未来はどこで決まるか」という問いを常に追求しています。多くの人は、たとえば、経営陣による戦略策定や投資判断、上司などによる日々のマネジメントなどをイメージするかもしれません。もちろん、それもあるでしょう。しかし、組織の本質的な姿を決定づけているのは、自分たちの手の届かない外側にあるものではなく、もっと身近で、もっと微細な、わたしたち一人ひとりが日常の中で行っている「無数の選択」の積み重ねから生まれるのです。
人間は1日に約3.5万回もの選択をしていると言われます。メールの返信の語気、会議での沈黙、あるいは現場で見つけた小さな違和感を「報告するか、しないか」。この膨大な選択の濁流こそが、企業の真の姿を形作っているのです。
2.積み重なる 「選択」が組織の重力を生む
選択とは、その場限りの行動ではありません。それは一つひとつが積み重なり、やがてその企業特有の「組織風土」という巨大な地層を作り上げます。
例えば、現場で起きた小さな違和感を「報告する」か「周りに波風を立てないよう見過ごす」か。こうした微細な判断が組織全体で数千、数万回と繰り返されることで、風通しの良い「挑戦的」な風土が育つこともあれば、澱んだ「事なかれ主義」の風土が定着することもあります。一度形成された風土は、今度は逆に私たちひとりひとりの選択を強力に縛り付ける「見えないルール(重力)」となっていきます。そして、組織の未来を、進化を加速させるか、停滞させるかを決める大きな要因となるのです。
3.不祥 事は「負の選択」が表層化した氷山の一角
不祥事が起きた際、世間は経営陣の判断ミスを追及しますが、それは多くの場合、氷山の一角に過ぎません。組織開発の視点で見れば、それは組織全体が長年積み上げてきた「負の選択」が表層化した結果です。現場で問題行為を放置する選択が日常化していれば、たとえリーダーの首をすげ替えても、同じ悲劇は繰り返されるでしょう。真の変革には、組織の深層で起きている「選択の質」そのものにメスを入れる必要があります。
4.「なんとなく」から「現状を問い直す」選択へ
では、進化する組織へと歩みを進めるために、私たちは「何の選択」を意図的に変えていくべきなのでしょうか。
それは、日々繰り返されるルーチンワークの選択ではありません。今、目の前にある不具合や、現場で感じている小さな違和感に対して、「本来、これはどうあるべきか?」と問い直し、現状を打破しようとする選択です。
「今までのやり方ではうまくいかない」と感じたとき、それを既存のルールの範囲内でやり過ごすのか、あるいは組織の未来のために「新しい一歩」を踏み出す選択をするのか。この「現状を変えていこうとする選択」の質こそが、硬直化した組織風土を塗り替える起点となります。
しかし、いざ「本来あるべき姿」に向けて選択を変えようとすると、そこには必ず大きな困難が待ち受けています。次回は、私たちが現状を変えようとする際に直面する「摩擦」の正体と、その乗り越え方について深掘りします。
第1回コラムか ら:【実践への問いかけ】
あなたの組織の「地層」には、今どんな選択が積み重なっていますか?
今日、あなたが現場で見つけた「小さな違和感」。それを「無かったこと」にするのか、あるいは「未来への種」として扱うのか。その一つひとつの選択が、1年後の組織風土を作ります。
「今、この瞬間の選択は、私たちが望む未来につながっているだろうか?」
一度、立ち止まって自問してみてはもらえないでしょうか?

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