top of page

1. パーパスが求められるようになってきた背景・メリット

1-1. パーパスとは?

パーパスとはなんでしょうか?

 

仕事柄、パーパスやパーパス経営に取り組むとはなにか?に関する記事を見る機会が多いのですが、そこでは、おおむね下記の様な説明をされているように思います。

・パーパスとは、企業や組織が何のために存在するのか?つまり存在意義のこと。

・企業や組織が社会に対してどのような価値を提供したいのか?企業活動を通じてどのような社会を実現したいのかを明確にしめすこと。

・そのことで、企業や組織は、社員・顧客・投資家・取引企業などのステークホルダーから

共感を得ることができる。

・会社の存在意義実現にむけて、具体的に現状を変えていくこと。進化させていくこと。

・そのことで、社会に実際に貢献し、社会から評価を得ることができる。社員や顧客のエン

ゲージメントを高め企業価値を向上させることができる。

これらの説明はまったくその通りであると思います。

 

会社が刹那的な営利だけを目的とせず、「なんのために存在し、顧客や社会に何の価値を提供するのか?」に真摯に向き合うこと、そしてその実現に向けて行動を起こすこと。

 

このようなパーパスの考え方が世の中に広がって、多くの会社の当たり前になれば、会社という存在は、社会やそこで働く多くの社員や関係者にとって、もっともっと豊かなものになっていくことと思います。

 

では、なぜ、これほどまでにパーパスが注目を浴びるようになってきたのでしょうか?

1. パーパスとは?

1-2. パーパスが必要とされる背景

パーパスが注目を浴び始めたのは、2つの背景があると言われています。

 

1つ目は、「社会からの企業への見方の変化」です。

 

社会が、従来の株主利益の追求といった株主資本主義に限界を感じはじめ、企業に「ステークホルダー資本主義」といった、社会の一員として社会の利益とつながる責任ある行動を求めるようになったこと。そして、そのことが実際に、企業の業績や、投資家の投資実態に具体的に影響を与え始めたことがあげられます。

 

2つ目は、「社員からの企業への見方の変化」です。

 

社員が、会社の存在意義に共感できるかどうかが、就職の際の判断条件や、働く社員のエンゲージメントに影響を与えるようになってきたこと。そしてそのことは、企業にとっても、取り巻く環境が不安定化していくなかで生き残っていくために、ますます重要な要素になっていくと理解され始めたことがあげられます。

 

つまり、企業という存在が、より多くのステークホルダーの意味や意義とつながっていなければ成立しなくなり、その会社の存在に、なにより社員が、共感できていなければ、会社を強く成長させることができない時代になってきたということです。

2. パーパスを戦略レベルで実現するパーパス経営

1-3. 実践の現場から見たパーパスを導入するメリットや効果

では、パーパスに取り組むメリットや効果とはなんでしょうか?

 

一般的には、前述「パーパスが必要とされる背景」で説明の通り、企業の社会的評価や社員のエンゲージメント向上に効果があると言われています。

実際、1点目は、規模が大きい企業であればあるほどメリットを感じておられる会社が多いように思いますし、2点目は、若手の離職率に課題を感じておられる会社や、意識の高い若手社員を採用したいと考えられている会社が、そのメリットを感じられることが多いよう思います。

 

一方で、パーパスを多くの企業でコンサルティングしてきた経験から言えば、パーパスに取り組む効果を、上記2点以外にも強く感じられている企業が多いように思います。

なかでも効果を実感したとお聞きすることが多いのは「会社の存在意義を定めることにより、会社が生き残るための進むべき方向性や、会社が何で戦っていくべきかの判断軸を社内に共有することができた」という言葉です。

 

今の社会は、環境変化が激しく、会社は常々変化していかなければなりません。

しかし、変化しなければならないとわかっていても、どう変化していけばいいか?どこにむかって変化するといいのか?という正解はだれにもわかりません。

 

この状況は、会社の現状を変えていく意思決定する際の大きな阻害要因となります。なかでも、その最終の意思決定を求められる経営者や現場リーダーにとっては、とくに悩ましい問題となります。なぜなら、たとえば経営者の場合、経営者自身がAを正解だと思っていても、他の役員や社員がBを正解だと思っていたら、経営者が信じるAという選択をとるためには、相当な社内調整が求められることを意味するからです。

 

そして、その現状を克服できない場合、(おそらく多くの会社でおきていることですが)現実世界でおこることは、

1つは、決断の先送り。

2つは、以前やったことがあるか?他社での成功事例があるか?といった過去や外部の正解探し。

の2つとなります。

「決断の先送り」は言わずもがな致命的です。

「過去や外部の正解探し」については決断の参考情報とする分には意味がありますが、過去や他社の正解が今の自社の正解になるとは限りませんし、なにより、過去や外部に正解を求める意識は、この環境を生き抜くためには危険な現状維持バイアスの強化や同質化のリスクをもたらしかねません。

 

こういった状況を打破するための有効な手段の一つが先ほどの「進むべき方向性や判断軸を社内で共有すること」なのです。

 

会社が生き残っていくために進むべき方向性や、経営資源を投入する判断軸を、社内で共有できている状況を作り出すことができれば、これらの意思決定への抵抗係数を下げることができるというわけです。

 

つまり、この厳しい時代を生き残るために重要なスピード感ある意思決定に、パーパスによる「判断軸の共有」が効果をもたらしたという話ですから、その意味はかなり大きいのではないでしょうか。

 

ちなみに、1つ注意点をあげるとすれば、この効果を獲得するためには、単にパーパスという言葉を作り社内に共有するだけではなく、会社で働く人々の多くに共感されるパーパスであることが前提になるということでしょう。

ここを間違えないようにすることが大切です。

 

たとえば、私たちがパーパス作成をご支援するときは、共感されるパーパスをつくるために、社員のみなさんが日々の仕事のなかで大切にしてきた「存在意義・価値」を「“経営者や社員のみなさんと一緒に”問い直し言語化していく」丁寧なプロセス作りをなにより大切にしています。

3. 事業面におけるパーパス

2. パーパス導入の実践上の課題(向き合うべきもの)

2-1. パーパスを実現する課題はなにか?(パーパス経営に取り組む課題)

今まで、パーパスとはなにか?その背景や導入の効果についてお伝えしてきました。

環境変化の激しい時代において、パーパスの導入は、その背景や効果から考えても、真剣に検討するべき取組だと思います。

 

しかし、もし、「パーパスに取り組もう」と具体的に考えようとされるのであれば、「パーパスに取り組む際の課題はなにか?」といったリスクの角度からもしっかりと検討しておくことをお勧めしたいと思います。

 

会社がこれから進んでいく方向性を社内で共有することをパーパス活動のゴールと考えるのであればなんら問題はありませんが、そうではなくパーパス作成をスタートにし、パーパスを判断軸に会社の事業や仕組みをしっかりと問い直し具体的に進化させていこうと真剣に考えられるのであれば、その実現への道筋について、どのような課題があるのか?リアリティをもって考えておく必要があるからです。

 

ここでは、その現実の課題について、事業と組織の2つの視点から考えてみたいと思います。

4. 組織面におけるパーパス

2-2. 事業面における課題

まず、パーパスに取り組んだ結果、「事業」はどういう状態になっていることが理想と言えるでしょうか?

その答えは、前述でも説明したように「会社の存在意義、進むべき方向や判断軸を共有し、その実現のために事業を営んでいる」と言える状態ではないかと思います。

 

この「存在意義を判断軸に事業を営む」を、もう少しリアリティのある言葉に直せば「会社の存在意義と遠い事業からリソースを引き上げ、存在意義に当てはまる事業に経営資源を集中させていく」ということになるでしょう。

 

「今までやってきたから、儲かるから、他社が先行しているから」など、過去の成功体験や、短期的な利益が得られるかどうかを経営資源投入の判断軸としてこられた会社であれば、そこから「会社の存在意義にそった事業であるかどうか」を判断軸に、経営資源を集中していく経営スタイルへ転換していくことを意味します。

 

しかし、会社の存在意義や判断軸をもとに意思決定したとしても、それによって、社内の既得権を打破し今までのリソース配分を変えることはやはり簡単なことではありません。また、過去事例や他社先行事例など実績・エビデンスのある事業への投資ではない場合、経営はその投資に対する説明責任を求められるでしょうし、うまくいかなかった場合は経営責任を問われることになるかもしれません。

つまり、パーパス経営に取り組むとは、まさに、実践レベルでは、このようなリスクに向き合うことを意味するのです。

ですから、このようなリスクに向き合う覚悟が求められること。そして、そのための対策をしっかりと考えておく必要があるということです。

 

もちろん、リスクについては正しく理解してさえいれば、適切に対応できるでしょう。たとえば、前述でご説明したように、単にパーパスを作るのではなく、パーパスを作る工程において、社員と会社の存在意義や進むべき方向性を徹底的に議論するなど、社員がパーパスに共感や当事者意識をもてるようなプロセスを“出来る限り丁寧に”組み込んでおくことは有効な対策になるでしょう。また、意思決定によって発生するリスクに対する許容範囲を定め、そのなかで適切にマネジメントするリスク管理の考え方などは現実的な対策になるでしょう。(たとえば、特区や15%ルールなど)

 

いずれにせよ、環境変化の激しい時代に、現状維持や他社事例の追随は、経営にとっては社内リスクや短期リスクを軽減することにはなったとしても、会社には対外リスクや長期リスクをもたらすことになるわけですから、社員が共感しうる目指すものを定め、リスクを最小化しながらも現状を変えていく挑戦をし続けることは会社や事業の発展を考えるうえで必須であることは間違いないでしょう。

5. パーパスとミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の違いとは?

2-3. 組織面における課題

次に、組織について考えてみたいと思います。

事業だけではなく組織についても考えておくことは重要です。

いかによい事業戦略を描けたとしても、その成否はロジスティックス、つまり戦略を実行する組織が正しく機能しなければ実現しないからです。

 

まず、パーパスに取り組んだ結果、「組織」はどういう状態になっていることが理想と言えるでしょうか?

前述の説明のなかで、「社員一人一人が自律して考え試行錯誤しながら正解を模索することの重要性。そのために社員が会社の目指す方向に共感できていることの重要性。」について触れましたが、まさに、「パーパスにむけて自律的に考え行動をおこしていく組織」がパーパスに取り組む組織面の理想の姿となるでしょう。

 

では、どうやって、その理想にたどり着くのか?その実現のための課題とは何でしょうか?

 

その答えについては、みなさんの会社の組織が今どういう状態にあるか?によってさまざまではあると思いますが、私の経験上、パーパスの理想実現に向けて向き合わなければならない一番大きな組織上の課題は「マネジメントスタイルの転換」であろうと思います。

 

 

具体的には、上司による指示管理型のマネジメントスタイルから、パーパス実現にむけた共感支援型のマネジメントスタイルへの転換でしょう。

 

具体的には、下記のような変化が必要となります。

 

・外圧的なパワーで社員を働かせるのではなく、共感から生まれる内発的な力で働いてもらうようなマネジメント。

・詳細な指示や管理・評価をするマネジメントではなく、仕事の意味や価値、パーパスとの関係などの説明責任を果たすマネジメント。

・リーダーシップによる率先垂範だけではなく、フォロアーシップによる自律的なチャレンジへのサポート・環境支援。

など。

purpose_2.png

なぜなら、たとえ会社が定めたパーパスに社員が共感し日常の仕事を変えていきたいと心から思っていたとしても、一方で、日々、上司から与えられた仕事を淡々とこなすことだけを求められたとすれば、結果、パーパスを判断軸とした自律的な仕事など実現しません。上司の指示を軸にした仕事の仕方が変わらないからです。

パーパスにむけて主体的に挑戦する意欲を社員一人一人が持ち続けられるように、それを支援するマネジメントスタイルが求められるのです。

 

しかし、だからといって「パーパスを軸に事業を営むように変えるから、あなたたちも変わりなさい。」といった正論を現場に突き付けるだけでは何も変わりません。実際多くの企業で、その失敗事例を見てきました。今まで長い間指示管理型で成功してきたマネジメント層に、突然会社が指示管理型をやめなさいと言ったとしても、簡単に変わるものではないのです。

 

そして、そのことの最大のリスクは、マネジメント機能と現場力の弱体化です。

実際、「指示管理を辞めろ」といった一方的な現場への通達で終わらせてしまう会社は少なくありません。しかし、当のマネジメント層の多くは、指示管理型のマネジメントスタイルに代わる共感支援型マネジメントのあり方に心も技術も追いつきません。そのため共感支援型はできないけれど、強制やトップダウンはやめるといった、「放置型マネジメント」になるケースが多いのです。指示管理型のマネジメント層が指示管理だけを辞めてしまえば、現場はコントロールの効きにくいカオス状態になります。中には、自主性という名の好き勝手がまかり通ってしまい、皮肉にも、現場力が低下してしまった会社を何社も見てきました。

 

このようなリスクに対応するためには、マネジメント層に「変わりなさい」という精神論ではなく「なぜ変わる必要があるのか?変わるためには何が必要か?」といった現場レベルでの具体的な支援まで考え丁寧にサポート“しつづけていく”必要があるでしょう。

まさに、マネジメント層に対する共感支援型のマネジメントが求められるのです。

 

施策で言えば、共感支援型を実現できるように、マネジメント層への知識やスキル付与の勉強の機会提供や定期的な実践サポート、マネジメント層が社員の自主性に向き合いやすくなるような時間、評価、機会などの環境支援などは有効でしょう。また、具体的な方法論だけではなく、一番は“しつづける”その本気度を経営層がマネジメント層に感じさせられるかもポイントになるでしょう。

 

 

いずれにせよ、パーパスに取り組むのであれば、それがもたらす理想的で綺麗な側面ばかりではなく、その理想を実現するための事業や組織上のさまざまな課題やリスクに愚直に向き合っていく覚悟と実現の方法論もセットで考える必要があるということをご理解いただければと思います。

6. パーパスに取り組む本来の目的とは?

MVVやパーパスの策定に課題がある、策定しても機能しないと感じている経営者・担当者の方に。

パーパスの設定と組織の自律的なドリブンまで、その「設計から実践」までをサポートする「パーパスドリブン コンサルティング」

DAIALECは社員が会社や仕事に意味や価値を感じられるパーパスを社員と一緒に作り、具体的な実践までをご支援します。

DAIALECのパーパス実践ネットワーク

DAIALECは、組織開発のノウハウや多様な専門家のネットワークでパーパスドリブンを実現します。

組織風土コンサルティングのスコラ・コンサルトの元代表取締役が立ち上げたDAIALEC。

 

組織開発のコンサルティングをはじめ、各種経営者のコーチ、対話・ファシリテーターなどの豊富な経験・ナレッジを持っています。

また、大手広告会社との提携し、パーパスドリブンに必要となるクリエイティブ制作や社内外の広報についてもワンストップで対応。

 

その他にもシステム、人事制度、マーケティング、それに伴うPJマネジメントを得意とするコンサルタントをネットワークしています。

network.png

お問合せ・資料請求

お問合せ・資料請求をお選びください
お問合せ
bottom of page