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エネルギーを引きだすコミュニケーション

私たちは、風土改革や組織開発の現場で、企業が直面する課題を解決し、その潜在能力を最大限に引き出すサポートを日々行っています。この活動を通して痛感するのは、組織変革を進める上で「コミュニケーション」がいかに重要かということです。

 

一口にコミュニケーションと言っても、組織の現場で求められる種類は多岐にわたります(例:コミュニケーションをとる対象が個人か組織か、扱う情報が事実か感情か、組織の目指す姿が生産性向上か創造性向上か、などによって、コミュニケーションの種類、大切にすべきこと、必要な技術は異なります)。

 

今回は、その中でも特に「社員一人ひとりのエネルギーを引き出すコミュニケーション」に焦点を当ててお伝えしたいと思います。

1. ビジネス現場

社員一人ひとりのエネルギーを「掘り起こす」ことの重要性

ビジネスの現場では、目標設定やプロジェクト推進など、さまざまな経営課題が同時並行で進行しています。しかし、それらを実現するための「組織(社員一人ひとり)が持つエネルギー」に焦点が当たることは意外と少なく、その努力も現場任せになっているのが実情です。マネジメント層の皆さんも、部下のモチベーションを引き出すことに多くの悩みを抱えているのではないでしょうか。

 

このような状況で、「今年の目標は〇〇必達だ!」「このプロジェクトを絶対成功させろ!」と声高に叫んだところで、それを実行する組織のエネルギーが高まっていなければ、掛け声倒れに終わってしまうでしょう。

 

私たちの組織変革において最も重要な問いの一つに「私たちは、目標達成に必要なエネルギーを、組織の中に十分に蓄えているだろうか?」というものがあります。意欲のない組織に高いハードルを示すことは、単なる精神論に過ぎず、長期的には組織の疲弊を招きかねません。

 

しかし、幸いなことに、組織が持つエネルギーは、決して限りある資源でも、枯渇した資源でもありません。社員一人ひとりに能動的に関わることによって、十分に引き出すことが可能な資源なのです。売上を10%上げる困難さを考えれば、社員のエネルギーを10%引き出す方が、はるかに現実的であり、組織に与えるインパクトも大きいと言えるでしょう。

2. 社員一人ひとり

社員一人ひとりのエネルギーを引き出す「縦に深く掘る」コミュニケーションスキル

では、どのようなコミュニケーションを取れば、社員の持つエネルギーを引き出せるのでしょうか。

 

よく言われる言葉で表現すれば「内発的動機(社員のやる気)を喚起するコミュニケーションをとること」となります。これは、社員一人ひとりに「自分は、この会社・この組織で何をやりたいか?」「自分の内側にある興味関心は何か?」を言葉にしてもらいながら、組織の方向性とすり合わせていくコミュニケーションです。

 

もちろん、このようにお話しすると、「私は、いつも部下が何をしたいのか、コーチング的に聞いて、部下のやる気をしっかりと引き出しているよ」と言われる方もいるかもしれません。それは素晴らしいことです。部下のエネルギーを引き出す上で非常に重要なコミュニケーションを積極的に取られていると言えるでしょう。

3. 社員一人ひとり

表面的な問いかけだけでは不十分な理由

しかし、もし部下に「あなたは、この会社・組織で本当は何をしたいのですか?」といった問いかけをしている“だけ”なら注意が必要です。もしかすると、部下が持つ表面的なエネルギー、つまりすでに顕在化しているエネルギーしか確認できていないかもしれません。

 

今回、私たちのノウハウの中からご紹介するのは、さらに深く、その想いの背景にある「なぜ、そう思うのか?」「その根底には、どんな価値観があるのか?」という根源的な問いに向き合い、縦に深く探求していくコミュニケーションです。社員と共に、そこにある想い・エネルギーの源泉を言葉にしていくのです。イメージとしては、「地中深く眠るエネルギーの源泉を掘り当てるようなコミュニケーション」と考えていただくと、感覚的に伝わりやすいかもしれません。

 

実際にこのノウハウを実践するには、ある程度の経験が必要ですが、まずは簡単にご説明したいと思います。

コミュニケーションの深掘りイメージ図

​意見

事実情報

​(その意見を言った背景情報)

感情情報

​(事実情報から意見に至った理由)

本当の思い・考え

​どうありたいか?

4. 表面的な問いかけ

STEP. 1「意見」の言語化
会社・組織(課題)において何をしたいのか?を聞くこと

あなたは何をしたいのか?何に興味があるのか?を聞き社員に話してもらうのがSTEP1です。それは社員のエネルギーを発揮する場所を知る手がかりとなります。

しかし、この段階では、会社や組織の現状で取りうる選択肢の中で具体的に何をしたいか?が話されることが多く、表面的な情報でとどまりやすいです。

※例:「あなたは、この組織で何に興味がありますか?何をやってみたいですか?」⇒「僕は、〇〇という商品に携わりたい。もっとお客様に喜ばれる商品にするために商品開発にもかかわってみたい。」

STEP. 1「意見」

STEP. 2「事実」の言語化
何を見て、その「意見」を持ったのか?を聞くこと

社員が、STEP1の「意見」を持った背景には、必ず何かを聞いたり見たりした情報があったから、その意見を持つにいたったはずです。何を聞いたから見たから、その社員が「〇〇したい」と思ったのか?といった背景情報=「事実」を聞いていくのがSTEP2です。

例:「なんで、〇〇商品に携わりたいと思ったの?なんで商品開発もしたいの?」

⇒「この会社に入る前、〇〇商品を使って救われた人を見たことがあったから。こんなに喜ばれる商品に自分も携わりたいと思って・・・。」

STEP. 2「事実」

STEP. 3「感情」の言語化
なぜ、「事実」を見て「意見」を持つにいたったのか?を聞く

STEP2の「事実」を見たからSTEP1の「意見」をもったところまでは言葉になりました。しかし、同じ事実を見ても、全員が同じ「意見」にはなりません。そこで、なぜ、その社員は、STEP2の「事実」を見てSTEP1の「意見」を持つに至ったのか?その背景を聞いていくのがSTEP3です。

その理由を聞くことで、本人が何を大切にしているか?何ができると嬉しいか?悔しいか?が言語化されていきます。

※例:「私なら、同じ「事実」を見ても、〇〇さんと同じ「意見」にならないかな。どうして〇〇さんは、その「意見」を持ったんですか?」

⇒「そうですね・・僕は、こまっている人を救う仕事がしたいと思っているからかもしれません。なぜなら、昔、自分が困っているときに・・・」

​​

いかがでしょうか?

なんとなく、社員一人ひとりのエネルギーを引き出す「縦に深く掘る」コミュニケーションとはどんなものかをイメージすることができたでしょうか?

 

 STEP3までくると、STEP1と異なる、より深い部分にある、その人の本当の思い・考え・どうしたいのか?が言葉になってくることがわかっていただけたでしょうか?補足で説明した例のケースで言うと、この社員は、「〇〇という商品を作りたい」のではなく、「こまっている人に役立つ仕事がしたい」が本当にやりたいこと。逆から言えば、「こまっている人に役に立つ仕事であれば、〇〇という商品でなくてもよい。」と、言葉にして理解することができたのです。

 

そして、この深掘りを通じて、社員自身も意識していなかった「本当は何をやりたいか?」が言語化された先に、本人ですら言葉にしてこなかったようなエネルギーの源泉を見つけることになるかもしれません。

 

 ※ちなみに、事例は、意見⇒事実⇒感情とスムーズに掘っているように見えますが、1回でうまく言葉として表現できない場合も多いです。またSTEP3の質問をしても、STEP1レベルの表面的な答えが出てくる(ループする)場合もあります。その場合は、まだ自分の本当の思いが言葉化されていないケースが多いので、言葉になるまで、何回か丁寧にこのループを繰り返すとよいかと思います。

  また、今回STEP3の例では、わかりやすく伝えるため、「困っている人に役立つ仕事を・・」と話したところで終わっていますが、可能であれば、さらに、「なぜ、役立つ仕事をしたいのか?」「そのことはあなたにとってどういう意味や価値があるのか?」等々、社員のことを、もっと深く理解できるところまで掘っていくことをお勧めします。社員のエネルギーの源泉をより正しく理解することにつながるでしょう。

 

***

 

ちなみに、この「コミュニケーション」は、単なるスキルではありません。それは、マネジメント層が、社員一人ひとりの内なる声に耳を傾け、その可能性を最大限に引き出そうというマネジメント姿勢そのものが前提となります。眠れる組織のエンジンに火を灯し、力強い変革の推進力に変えていく。その第一歩は、社員一人ひとりへの深い傾聴と問いかけから始まるのです。

STEP. 3「感情」
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